よくある質問とその回答

『蒸気!』ではよくある質問とその回答を『セッションテクニカルライブラリ(STL)』として公開しています。

・『蒸気!』のシナリオの本質とは
・技能の獲得タイミングについて
・御都合主義的登場について
・戦闘バランスについて
・呼び込みを使ったシナリオの作り方
・呼び込み対象の死亡や破壊について
・悪役の逃げ道について
・熱い魂の封入と再度の〈対人観察〉〈対物観察〉について
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『蒸気!』のシナリオの本質とは

質問
『蒸気!』のシナリオの本質とは何でしょう?

回答
難しい質問ですね。一言で言えば、シナリオは「日常性からの逸脱」を扱うものだと考えられます。そしてシナリオがドラマ的になればなる程「逸脱と回復」という部分がクローズアップされる傾向にあります。つまり、「ある事件が発生し、それに関らざるをえない状態」という例も、「冒険を求め、英雄的な活躍を行う」という例も、本質的には「日常からの逸脱と日常への回帰」によって語られるのです。つまり、「異常な状態」無しにはドラマは成立しない訳ですね。望んで得られた状況か、それとも望まずに得られた状況かに関らず、「非日常」こそがシナリオの本質です。

また「偶然の邂逅」も見逃せない点です。ドラマチックな物語とは「偶然」が大きく関わっています。偶然人と出会う、偶然物を拾う、偶然ある場所に行き着く、偶然事件を目撃してしまう……これらは全てドラマを構築するための大きな要素です。『呼び込み判定』とはこのような偶然を支配するためのルールです。

技能の獲得タイミングについて

質問
技能は任意のタイミングで成長させて良いと書いてあるが、「初期成長」を全く行わないでセッションに参加し、セッションの最中に都合の良い技能を獲得するのでも良いのか?

回答
全く問題ありません。もちろんその手続きを行った後で、消費した成長ポイントを取り戻すことは不可能です。従って、セッションを重ねるに従ってそのキャラクターが固まっていく、ということでもあります。特に〈コネクション〉技能の獲得はこのような形で行われる場合が多いようです。

御都合主義的登場について

質問
あるプレイヤーから、NPCの対象の呼び込みが行われた際に、他のプレイヤーは自分のPCが、そのNPCと一緒にいたと主張して場面に登場しても良いか?

回答
これはいくつかの処理方法がありますが、その一例を挙げると、以下のような解決策があります。

NPCが呼び込まれた瞬間に、登場を主張するプレイヤーから呼び込み判定を行う必要がある。まず登場を主張するPCを扱うプレイヤーが、呼び込みされたNPCに対して呼び込み判定を行う。成功した場合にはそのまま登場できる。もし失敗した場合にはNPCを呼んだPCに対しても呼び込み判定を行うことができる。

インタラプトはこのように瞬時に行われるので、「状況を伴って出現」ということが可能となります。色々と問題があるとすれば、インタラプトの回数の上限を決定しなければならないという点でしょう。従って「呼び込み判定は同じ対象に対しては1シーンにつき1回だけ行うことができる」という縛りはここでも有効です。しかしこれは呼び込み判定の失敗が起きた瞬間にインタラプトを行い、その失敗が無効になるように他の方法演出することが可能になるということでもあります。

ここに紹介したものは、考え方次第で様々な応用が出来るテクニックでもありますが、嫌いなマスターは許可をしないというのも手です。

戦闘バランスについて

質問
戦闘になるとすぐに死んでしまいます。戦闘をばりばり楽しみたいのに!

回答
戦闘状態になるということは、両者に死の覚悟があってのことだと思いますので、仕方ないと思ってください。死にたくなければ闘わないことです。闘わずに勝つということは、近現代社会ではとても重要なことです。どんな状態でも、常に話し合いの余地はあります。特に『蒸気!』においては、労働者階級のキャラクターとの交渉は、金で簡単に片が付きます。死ぬまで闘いつづけることの無意味さは、現実生活を思い浮かべて下されば良いでしょう。英国は法治国家であり、酷いダメージを相手に負わせた場合には、罪に問われる場合も少なくありません。

一方で、戦闘に関して高い技能レベルを持つ、というのも重要です。訓練を積んだキャラクターはそれだけの能力を持っています。特に近接戦闘において《格闘》技能は重要です。レベルの半分の値をダメージに追加できるののは、殺傷能力が飛躍的に高まるということです。

ちなみに『蒸気!』にも、戦闘に関して極めて高レベルでなくては立ち向かえない相手というのが存在します。そのような対象とは法とも無縁です。それらと闘うためには、日々の大部分を訓練や鍛錬に充て、かつ才能が必要になります。相手がどんなものであるかの対策も必要になるでしょう。そのようなキャラクターで遊びたい時には、それなりの設定が必要になるでしょう。銀腕部隊というサプリメントはそのような倫敦の裏で遊ぶためのガイドです。

または『過去のことを回想しながらのプレイである』ということを参加者の間で了解を取っておけば、『PCは生き延びている』という前提が発生しますので、『説明原則』により、どんなプレイをしてもPCが死亡することはありません。

呼び込みを使ったシナリオの作り方

質問
簡単に呼び込みを必須とするシナリオを作成することはできますか?

回答
NPCしか呼び込むことのできないNPCを設定すれば良いでしょう。二段構えで呼び込みを行わせる訳です。呼び込んだNPCは呼び込んだプレイヤーが扱うことになっていますから、ここを巧く逆手に取ることで「呼び込み」を必携とするセッションを構築することができます。このようなセッションは、『人間関係の糸をたぐる』というセッションとなります。特に、ルールブックに収録されているNPCや、以前のセッションに登場しているPCなどと事前に関係を持っている場合などは楽な導入が出来るでしょう。NPCリストの山の中から、必要な呼び込みを行えるキャラクターを探すというのも楽しい作業に違いありません。さらに、仮想人格によって新しい呼び込み対象のNPCが出現する可能性もあります。この場合には偶然でも必然でも入手された仮想人格が『超時空体シンクロ』を起こしていると考えて良いでしょう。

呼び込み対象の死亡や破壊について

質問
熱い魂を持つキャラクターも死んでしまう場合がありますが、その場合、呼び込み対象リストから除外する必要はあるのでしょうか?

回答
除外する必要はありません。対象が生物であれば、「幽霊」や「白昼夢」として呼び込まれる場合がありますし、人によっては「影武者であった」との理由づけをするかもしれません。そして所定の手続きの元で呼び込んだ場合には、呼び込んだプレイヤーがPC相当として扱えば良いのです。対象が破壊された物体の場合は、その断片であったり、「実は破壊されていなかった」などの理由づけを行っても良いと思います。

『JOJOの奇妙な冒険(集英社)』のアブドゥルなどがいい例。

悪役の逃げ道について

質問
呼び込み判定をボスキャラに対して行われてしまい、身動きが取れなくなってしまう場合があります。このように悪役が逃げだせない場面などでは、どのような対処を行えば良いでしょうか?

回答
熱い魂を気球など(逃げ道)に封入しておくことで呼び込みを行いましょう。または部下に熱い魂を持つキャラクターがいれば、そのキャラクターを通じて逃げ道を呼び込むのでも良いと思います。注意すべきは、「呼び込み判定」が、プレイヤーの有利にだけ働くルールでは無いという部分です。呼び込まれた場合に悪役が単独で出現する必要もありませんし、丸腰である必要もありません。ゲームマスターはゲームマスターとしてその場面を演出することができるのです。完全武装の軍隊を率いて出現、というのはいささかやりすぎだとは思いますが、有利な条件で出現というのは基本的なテクニックです。

熱い魂の封入と再度の〈対人観察〉〈対物観察〉について

質問
熱い魂をある場面に封入しておくことによって、未来においてその場面を呼び込み、再び〈対人観察〉や〈対物観察〉を行うことは可能でしょうか? また、その場面の呼び込みを「回想」として説明付けるのは許されますか?

回答
ルール的には可能です。過去それ自体が出現することを理由づける方法がなかなか現実的に難しい以上、呼び込みの理由づけとして「回想」というのはリーズナブルな手段だと思われます。この点は全く問題ありません。ただし、過去に対しての〈対人観察〉や〈対物観察〉を試みる場合、それぞれの目標値などが記録されている必要があります。そのような場合のために、「封入」を行った場面については封入を行ったプレイヤーが記録を残しておく必要はあるでしょう。マスターはまた、その難易度をそのプレイヤーに対して公開する必要があります。